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フランス近世史・革命史・フリーメイソン史研究に関するブログです。新刊情報などをまとめています。

[文献リスト]日本語で読むフリーメイソンの歴史

歴史学や文学の研究者による著作を中心に、学問的に信頼できる文献をリスト化してみました。網羅的ではありませんが、フリーメイソン史を真面目に勉強してみたいという方はぜひご活用ください。今後も更新していくつもりです。

フリーメイソン史の概説書・入門書

  • 吉村正和『図説 フリーメイソン』(河出書房新社、2010年)
  • リュック・ヌフォンテーヌ(吉村正和・村上伸子訳)『フリーメイソン』(創文社、1996年)
  • ピエール=イヴ・ボルペール(深沢克己編訳)『「啓蒙の世紀」のフリーメイソン』(山川出版社、2009年)*1
  • H・ラインアルター(増谷英樹・上村敏郎訳)『フリーメイソンの歴史と思想:「陰謀論」批判の本格的研究』(三和書籍、2016年)*2

啓蒙の世紀ヨーロッパの結社・社交組織一般について

  • ウルリヒ・イムホーフ(成瀬治訳)『啓蒙のヨーロッパ』(平凡社、1998年)
  • シュテファン=ルートヴィヒ・ホフマン(山本秀行訳)『市民結社と民主主義:1750-1914』(岩波書店、2009年)
  • ピエール=イヴ・ボルペール(田瀬望・見瀬悠訳)「社交性の『製作所』」『クリオ』30号、2016年、65-80頁。
  • 深沢克己『海港と文明:近世フランスの港町』(山川出版社、2002年)、第四章「学芸と社交空間」。
  • 桜井万里子・深沢克己編『友愛と秘密のヨーロッパ社会文化史:古代秘儀宗教からフリーメイソン団まで』(東京大学出版会、2010年)

フリーメイソンの基本思想と位階・儀礼

  • 深沢克己「移動する人々とフリーメイソン世界共和国」工藤庸子・池上俊一編『都市と旅:フランス語で世界を読む』(放送大学教育振興会、2005年、167-170頁)*3
  • 深沢克己「一八世紀フランスのフリーメイソンと寛容思想」(高山博・深沢克己編『信仰と他者:寛容と不寛容のヨーロッパ宗教社会史』東京大学出版会、2006年所収)
  • 深沢克己「フランス海港都市のフリーメイソン:国際社交組織と秘教思想」(羽田正編『港町の世界史3 港町に生きる』歴史学研究会編、青木書店、2006年所収)
  • 深沢克己「啓蒙期フリーメイソンの儀礼と位階:石工伝統から騎士団伝説へ」『白山史学』48号、2012年、27-61頁。

フリーメイソンと啓蒙思想・秘教思想

  • 今野喜和人『啓蒙の世紀の神秘思想:サン=マルタンとその時代』(東京大学出版会、2006年)
  • 深沢克己「フリーメイソンの社交空間と秘教思想」(『友愛と秘密のヨーロッパ社会文化史』東京大学出版会、2010年所収)
  • 深沢克己「18世紀末フランスの知的エリートとフリーメイソン―マルセイユの医師アシャールの内面的軌跡」『史苑』72巻1号、2011年、57-76頁。
  • アントワーヌ・フェーヴル『エゾテリスム思想:西洋隠秘学の系譜』(白水社、1995年)
  • ピエール=イヴ・ボルペール(深沢克己編訳)『「啓蒙の世紀」のフリーメイソン』(山川出版社、2009年)

フリーメイソンと宗教

  • ヤーコブ・カッツ(大谷裕文訳)『ユダヤ人とフリーメーソン』(三交社、1995年)*4
  • ピエール=イヴ・ボルペール(田瀬望・楠田悠貴・山王綾乃訳)「啓蒙の世紀のフリーメイソン会所におけるムスリムの認識と受容」『クリオ』31号、2017年5月。
  • ダッドレイ・ライト(吉田弘之訳)『ローマ教皇とフリーメーソン』(三交社、1995年)。*5
  • 深沢克己「一八世紀フランスのフリーメイソンと寛容思想」(高山博・深沢克己編『信仰と他者:寛容と不寛容のヨーロッパ宗教社会史』東京大学出版会、2006年)

フリーメイソンとフランス革命

  • ラインハルト・コゼレック(村上隆夫訳)『批判と危機:市民的世界の病因論』(未来社、1989年)。
  • フランソワ・フュレ(大津真作訳)『フランス革命を考える』(岩波書店、1989年、原著1978年)。
  • ロジェ・シャルチエ(松浦義弘訳)『フランス革命の文化的起源』(岩波書店、1994年、原著1990年)。

フリーメイソン陰謀論

  • 辻隆太朗『世界の陰謀論を読み解く:ユダヤ・フリーメーソン・イルミナティ』(講談社現代新書、2012年)

フリーメイソンと音楽・音楽家

  • 吉田進『フリーメイソンと大音楽家たち』(国書刊行会、2006年)
  • ジャック・シャイエ(高橋英郎・藤井康生訳)『魔笛:秘教オペラ』 (白水社、1976年)

フリーメイソンと日本

  • 片桐三郎『入門フリーメイソン全史:偏見と真実』(アムアソシエイツ、2006年)*6

*1:巻末のフリーメイソン用語解説がとても便利です。

*2:歴史学会編『史潮』新80号(2016年、137-142頁)において、深沢克己先生が書評されています。ドイツ語圏フリーメイソン史研究の出発点となる入門書として翻訳の意義を認めつつも、看過することのできない事実の誤認や不適切な訳語等について指摘されています。

*3:1723年にロンドン大会所により印刷公表された『フリーメイソン憲章』(『アンダーソン憲章』)の「義務」第1条を素材にしながら、フリーメイソンの創立理念を分かりやすく紹介しています。

*4:カッツの仕事は現在では批判・修正されています。フリーメイソンとユダヤ人・ユダヤ教の関係については、2010年のArchives juivesの特集号が詳しいです。Revue Archives Juives 2010/2 | Cairn.info

*5:原著は1922年であるため、読むときには慎重さが必要です。

*6:著者は、日本グランドロッジの会長を務めたメイソンです。