Il faut cultiver notre jardin

フランス近世史・革命史・フリーメイソン史研究に関するブログです。新刊情報などをまとめています。

【雑記】文書館での史料調査におけるデジタルカメラの重要性について

最近、文書館での作業中にデジタルカメラが故障するという災難に見舞われた話を耳にしたので、私自身がフランスの図書館や文書館で史料調査を始めた最初期に感じたことを書いておきます。

随分と昔のことになりますが、修士論文の執筆のために初めてフランスで史料調査をしました。渡航前は文書館へのアクセスや具体的な利用方法、集める予定の史料の情報について調べることに集中していたので、現地に到着して実際に作業を始めるまで、カメラが史料調査にとって致命的に重要であることに気が付きませんでした。恥ずかしながら、「充電器とSDカードを忘れないようにしよう!」といった感じで、一般の観光目的の旅行者と変わらない心持でした。しかも、持参したのは、親に借りたファミリー向けのコンパクト・デジタルカメラ。その性能は史料の撮影にとって十分なものであるとは言い難い代物でした。実際、写真データを見てみると、手稿文書に書かれた細かい文字の判読が困難である場合が少なくありませんでした。文書館では、周囲の利用者に迷惑をかけないためにも、館内では原則、フラッシュなしで撮影することになります。光量の乏しい条件下でも、十分に撮影できるたけの性能を備えた良いカメラが必要であることを痛感しました。

最近のコンパクト・デジタルカメラは進歩しているでしょうから、筆者のような失敗をする人はいないかもしれませんが、こうした反省から店員さんと相談した上でRicohのCX3を買いました。2010年の初夏以来、現在まで私の相棒として活躍しています。新しいカメラを使い始めて感動したのは、良いカメラのレンズは人間の目よりも格段に性能が良いということです。私の場合は、文書館で目を近づけて現物を読むよりも、タブレット上で史料の写真データを拡大する方が、判読が容易になると感じます。とりわけ、手稿の判読に慣れてくるまでは、こうした写真の綺麗さ・見やすさが、史料読解に取り組む上で抵抗感を大きく減らしてくれるので、馬鹿にはできないのではないかなと思います。

さて、注文した史料が目の前に出てきて、撮影に取り掛かって驚いたのは、バッテリーの消耗の激しさです。短期間滞在で集中して史料の収集を行う場合は、一般的な使用以上にデジタルカメラを酷使することになります。電池は最低でも二つ準備することをおすすめします。文書館の机にコンセントがあれば、充電しながら、作業を継続することが可能になるからです。また1日に1000枚、2000枚と撮影を続けていると予期せぬトラブルに見舞われることも少なくないです。現地で代替機を購入することも可能ですが、カメラも2台持参しておくと、安心かもしれません。

どなたか「良いカメラ」選びのポイントや様々な機能の活用法を解説する「史料撮影のためのデジタル・カメラ入門」という記事を書いてくだされば、嬉しいのですが。