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Il faut cultiver notre jardin

近世フランス史研究に関するブログです。新刊情報などをまとめています。

【新刊】フランス公衆衛生史: 19世紀パリの疫病と住環境

大森弘喜『フランス公衆衛生史: 19世紀パリの疫病と住環境』学術出版会、2014年5月20日

「現代日本人の主たる関心の1つは「健康」であるが、1世紀前のヨーロッパでは、疫病への反応として「衛生」が社会の関心事であった。本書では、19世紀フランスの都市住環境の劣悪さ、そこにおけるスラムの形成、コレラ・結核・腸チフスなどの疫病、その被害が集中した貧民街の生活環境を、パリについて観察する。また、例外的に高い死亡率を記録し続けたフランスの結核や、公衆衛生の改善と深く関連する水回り事情に関しては、とくに詳細に検討する。伝染病と貧困、インフラ整備と階級性などを広く論じる本書は、公衆衛史研究の穴を埋めるだけでなく、社会福祉・経済学・西洋思想史においても示唆に富むものとなっている。」

http://www.gaku-jutsu.co.jp/article/15044607.html




【目次】
序 問題の所在と分析視角
第1章 一九世紀パリの「不衛生住宅」問題
第1節 何が不衛生か/第2節 「不衛生住宅」とはどんな住宅か/第3節 ガルニ
第2章 一八三二年パリ・コレラと「不衛生住宅」
第1節 コレラ流行/第2節 コレラ死亡の人口学的・社会学的考察
第3節 コレラ死亡の社会経済的考察/第4節 コレラの病因論争と公衆衛生
第3章 一九世紀中葉における肺癆の流行
第1節 結核の本態/第2節 「佳人の病」か、「貧民の病」か
第3節 パリの死亡構造に見る肺癆死/第4節 ロンドンにおける肺癆蔓延
第4章 肺癆をめぐる病因学説
第1節 近世の肺癆病因説/第2節 近代の肺癆病因説
第3節 ヴィルマンの結核研究とその波紋/第4節 病原細菌学の確立とその後
第5章 「国民病」としての結核―第三共和政前期のパリにおける結核蔓延―
第1節 風土病化したパリの結核/第2節 結核のトポグラフィ
第3節 一九世紀末パリのガルニ
第6章 結核の予防と治療
第1節 結核の一般的予防法/第2節 結核の届け出義務
第3節 サナトリウム/第4節 ディスパンセールと海浜病院
第7章 パリの給水事業と衛生
第1節 オスマン以前のパリの水回り事情/第2節 オスマン=ベルグランによる給水改革
第8章 パリの下水道事業と衛生
第1節 オスマン=ベルグランの下水道事業/第2節 屎尿処理:トイレと下水道
第3節 「すべてを下水へ《トゥ・タ・レグ》」/第4節 民衆生活と水
第9章 不衛生住宅の衛生化法
第1節 ムラン法の制定/第2節 ムラン法の施行と世紀末パリの住宅事情
第3節 一九〇二年公衆の健康保護に関する法
第10章 住宅改革の思想と運動―低廉住宅の誕生―
第1節 住宅改革運動/第2節 一九世紀後半のパリ住宅市場
第3節 住宅改革の思想的系譜とその戦略/第4節 低廉住宅の誕生と展開
第5節 イニシアティヴ・プリヴェと低廉住宅立法/第6節 公的イニシアティヴと低廉住宅
総括と展望
文献リスト
索引

【著者略歴】
大森 弘喜 (おおもり ひろよし)
1945年 茨城県水戸市に生まれる
1964年 水戸第一高等学校卒業、横浜国立大学入学
1968年 同大学卒業、東京都立大学大学院経済政策専攻科入学
1976年 同大学院修了、関東学院大学経済学部 専任講師着任
1983年~85年 パリ大学ソルボンヌ留学
1997年 博士(経済学)取得(東京大学)
2003年~ 成城大学経済学部教授
著書:
『国家と経済―フランス・ディリジスムの研究―』(共著) 東京大学出版会 1982年
『地域と国家―フランス・レジョナリスムの研究―』(共著) 東京大学出版会 1992年
『世界史大系 フランス史 3』(共著) 山川出版社 1995年
『20世紀資本主義の生成―自由と組織化―』(編著) 東京大学出版会 1996年
『フランス鉄鋼業史』 (単著) ミネルヴァ書房 1996年
『アソシアシオンで読み解くフランス史』(共著) 2006年